JR東海(9022)

JR東海(9022)の株価は今後どうなるか
回復は難しいとの予想!リニアとコロナが今後どうなっていくかがカギになるよ。
株レンジャー
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  • JR東海(9022)の株価予想
  • JR東海(9022)株の買い時
  • JR東海(9022)の株の分析
  • 同業種の銘柄と比較
  • まわりの予想
  • 総合評価
  • 買いを検討してる人へアドバイス

をまとめました。

 

 

JR東海(9022)の株価予想!今後どうなるか?

新幹線だよりの事業構造がリスク

新幹線だよりの事業構造

JR東海(9022)は、東海地方を中心としている鉄道事業者です。運輸業・流通業・不動産業を行っていますが、運輸業が売上の7割を占めています。その運輸業の9割は新幹線による売上で、新幹線に大きく依存した収益構造となっています。

新型コロナウイルスの影響で、東海道新幹線の第3四半期連結累計期間における輸送実績は、前年同期比68%減となりました。その結果、運輸業の営業収益は前年同期比64.6%減の4,017億円、営業損失は882億円となりました。

通期の連結最終損益は1920億円の赤字を見込んでおり、民営化後初の赤字を計上しそうな状態です。

>>>第3四半期決算短信

 

徐々に回復したとしても株価がコロナ前の水準に戻るのは難しいか

新型コロナウイルスにより、都市間の人の移動が大幅に減少しました。新しい生活様式が定着すれば、人の移動がコロナ前の水準にまで戻るとは考えにくくなっています。そのため、仮に環境が良くなってきても、株価が元の水準まで回復するとはいいがたい状況です。

JR東海(9022)の社長によれば、

「コロナによる社会環境の変化に対しては、人と人が直接会うことの重要性は変わるものではない。ICTの活用が進む中でも、対面コミュニケーションの実現を担う立場から、引き続き快適で便利なサービスの提供に努めていく。」

とのことです。新たな事業を推進する予定はないようで、業績回復の要素があるとは考えづらいです。

>>>アニュアルレポート2020

 

JR東海(9022)株の買い時

13,000~16,000円台が買い時

13,000~16,000円台が買い時

成長性を感じられる取り組みの予定が見えてこない中で、あまり積極的に買える銘柄とは言えません。

それでもV字回復を見込んで、あえて今買うのであれば、2020年4月5日に26,255円をつけたピーク時から、40~50%株価が下がっているうちが買い時と言えるでしょう。

 

JR東海(9022)の株の分析【2020年10月28日現在】

配当金はいくら?配当利回り

配当は安定的でありながらもコロナの影響で減額

コロナの影響で減額

株価指標 目安
配当金 65円
配当利回り 0.82%
配当性向 -6.6%

配当はこれまで、安定的に連続して行われています。過去5年間で金額も右肩上がりでした。ですが、業績悪化の影響で、配当金はこれまでよりも安くなる見込みです。

>>>通期業績予想、剰余金の配当(中間配当)及び配当予想に関するお知らせ

通常時でも、株価に対して配当金は高いとはいえず標準的です。高配当狙いであれば、ほかの銘柄を選ぶのが賢明と言えます。

 

株主優待の内容

100株以上で株主優待割引券がもらえる

保有株数 株式優待の内容
100~1,000株 100株ごとに1枚
1,000株超~10,000株まで 10枚+1,000株超過分200株ごとに1枚

営業路線内の運賃および料金が1割引になる株主優待割引券がもらえます。

>>>株主優待のご案内

 

株価指標

割安で経営状況も悪くないが総合的な判断が必要

株価指数 目安
PER 赤字のため算出不可
PBR 0.72倍
ROE -3.0%
自己資本比率 39.7%
  • PBRは1倍割れで割安

PBRはこれまで安定して1倍を超えていましたが、現在は1倍を割っており割安と考えられます。買い圧力が高まる可能性があるでしょう。

ただし、将来性の部分でリニアなどの不安要素があるため、買いに踏み切るには総合的な判断が必要です。

 

  • 赤字計上も自己資本比率は横ばいのため経営状況に問題なし

自己資本比率は、2019年度は39.9%でした。2020年度はコロナ禍においても前年度比0.2%減の39.7%にとどまり、ほぼ横ばいです。

大幅赤字が計上されましたが、自己資本比率は問題ない水準を保っています。

 

同業種の銘柄と比較

JRグループの中では利益率が高く時価総額は第一位

時価総額は第一位

JR東海(9022)は、利益率が非常に高いことが特徴です。首都圏JR3社の2019年3月期決算で比較すると、売上高はJR東日本(9020)が1位ですが、営業利益率はJR東海(9022)が最も高くなっています。

これは新幹線の収益率が非常に高いことが要因です。また、在来線の赤字路線が少ないことも要因の一つとなっています。

会社名 売上高(億円) 営業利益率(%)
JR東海 14,648 45.6
JR東日本 21,133 18.5
JR西日本 9,809 15.4

また、日本の人口の6割を占める大都市(東京・名古屋・大阪)を営業区間として確保していることも強みとなり、時価総額は第一位となっています。

>>>JR東海:平成31年3月期決算短信

>>>JR東日本:2019年3月期決算短信

>>>JR西日本:2019年3月期決算短信

 

コスト削減が難しく、業績回復への道筋に暗雲

JR東海(9022)と同じく、初めての赤字を計上したJR東日本(9020)は、業績回復への明確な道筋を立てています。2020年度は、コスト削減目標を1560億円としています。

加えて役員報酬の減額も続けることとしました。さらに、運輸業以外の収入を増やすという目標も掲げています。

>>>JR東日本:2021年3月期 業績に関する説明会

一方JR東海(9022)は、業績回復への道筋があまり見えていないところが懸念点と言えます。コスト削減目標は、JR東日本(9020)の半分以下の680億円としています。これまで新幹線のコスト削減を継続的に行ってきた分、削れる部分が少なくなっているためです。

また、収入を増やすための目標は特に掲げられていません。

>>>JR東海:2021年3月期 第2四半期 主なQ&A

 

JR東海(9022)株のまわりの予想

買い予想の声

  • コロナ後に戻れば大幅に儲かるため買い

戻れば大幅に儲かる

 

V字回復することを見込んで、下落したと考えられるタイミングで買いポジションを取っています。

予想通り株価が上がってくれれば、大きな利益を得ることができますね。

 

売り予想の声

  • 減配を不安視して手放す

 

配当が減ってしまったことを不安に思い、保持していた株を手放したようです。不安材料があると考えるなら、ほかの銘柄を購入する資金にしたほうがよさそうですね。

 

JR東海(9022)の総合評価

株価の回復のためには環境要因の改善が重要

環境要因の改善が重要

  通信簿
業績 ×
配当金目当て ×
優待目当て
割安
同業種との比較
将来性

業績について

  • コロナにより柱の新幹線事業が大打撃を受ける

コロナで、都市間の人の移動が減りました。その影響で、売上高の大半を占める東海道新幹線の輸送実績は、前年同期比68%減となりました。民営化後初の赤字を計上しそうな状態です。

 

配当金目当ての投資

  • 配当目当ての投資には向かない

単元株購入のための金額が高額なうえ、配当利回りが高くありません。配当目当ての投資には向きません。

 

優待目当ての投資

  • 区間内の利用者であればおすすめ

株主優待はありません。該当区間内をよく利用する方であればおすすめです。金券ショップなどで換金することは可能ですが、手間をかけるほど高く売れるものでもありません。

 

割安かどうか

  • PBRは割安

1倍を割っているため割安ではあります。ただし、ほかの指標や経営状況を鑑みると、割安だからと言って、安易に買いと判断はできないと言えます。

 

同業種との比較

  • 新幹線に頼りすぎている事業構造が懸念点

JR東海(9022)の売上は、運輸業が全体の7割を占めており、さらにその9割が新幹線によるものです。人の移動が減っていることでこの重要な柱の売上が大幅に下がっています。

一方、

  • JR東日本(9020)は、運輸業が占める営業収益が67%、そのうち3割が新幹線による収入
  • JR西日本(9021)は、運輸業が62%、そのうち5割が新幹線による収入

JR東海(9022)の、ひとつの事業に頼りすぎている事業構造は、経営上の大きな懸念点と言えるでしょう。

>>>JR東日本:会社要覧2019-2020

>>>JR西日本:事業の収益構成は?

 

将来性はあるか

  • リニアが無事開業できるかどうかは不安要素

リニアの開業に向けて工事に着手していますが、目標の2027年開業には暗雲が立ち込めています。山梨・長野工区などは順調に工事が進んでいる一方、静岡工区では、県や周辺地域の了承が得られず着工できていません。

リニア工事には、先行投資として3兆円の固定負債が発生しています。万が一開通が頓挫してしまうと、資金繰りに大きな影響を与えることになります。

計画通り着工できていないという問題を解決するため、有識者会議を設置し議論を行っています。無事問題が解決されるかどうかが、今後のJR東海(9022)の成長のポイントとなります。

>>>第3四半期決算短信

 

  • 社会情勢が好転するかどうかがカギ

大幅赤字の原因は、コロナによる人の移動の減少です。大打撃を受けた鉄道事業が、売上の7割を占めるという事業構造では、必然的ともいえる赤字です。

ただ、この事業構造を改善していくには、かなりの時間がかかるでしょう。コストの削減をするといっても、もともと利益率の高い新幹線はテコ入れできる部分は少ないでしょう

業績の回復のためにすぐに効果が出るのは、人の移動が元の水準に戻ることです。とはいえこれは企業努力でどうにかなる部分ではありません。JR東海(9022)の将来は、周辺環境にゆだねられているといっても過言ではないと言えます。

 

買いを検討してる人へアドバイス

  • ハイリスクハイリターンを受け入れられるほどの余剰金があればおすすめ

リスクとリターン

新幹線だよりの収益構造、環境に依存した業績回復見込みという点を鑑みると、あまり積極的に買いをおすすめすることができません。また、単元株を購入するのに150万円前後必要となります。

そのためより手を出しやすく、成長が見込める銘柄を買うほうが賢明だと言えます。

ただし、無事業績が回復して、株価がコロナ以前の水準に戻ることがあれば、多大な利益を得ることができます。ハイリスクハイリターンであることを理解したうえであれば、思い切って買ってみてもよいのではないでしょうか。

 

まとめ

  • JR東海(9022)の株価予想はコロナ前への回復は難しい
  • 買い時は13,000~16,000円台だがあまりおすすめはできない、
  • 配当は安定的だが配当利回りは低い
  • ライバルよりも利益率が高いがこれ以上のコスト削減が難しい
  • 投資家はV字回復を狙い買うか、成長への不安により売るかの両極端
  • 株価の回復は企業努力だけでなく環境による部分が大きい
  • リスクを受け入れられるのであればハイリターンを臨める銘柄